
コーヒーを飲んで泣いたことがある。
あれは、まだ私が毎日に疲れて、少し自分を見失いかけていた頃――。
たった一杯のコーヒーが、心の奥底にそっと灯をともしてくれた日。
やっと行けた、憧れの人気店
あの頃の私は、正直、余裕なんて全然なかった。
気持ちも時間も体力もカツカツで、笑顔も減っていたと思う。
そんなある日、少しだけ頑張って、自分を励ますように向かったのが、
前から気になっていた人気のコーヒーショップだった。
おしゃれな空間。洗練された雰囲気。
きらきらしたお客さんたち。
やっとたどり着いたその店は、眩しくて、まるで別世界のようだった。
一杯のドリップコーヒーと、ふかふかのソファ
注文したのは、たった一杯のドリップコーヒー。
でも、その一杯を手にして、ふかふかのソファに身を沈めた瞬間、
なぜだか胸の奥からこみ上げてくるものがあった。
明るい照明に包まれた店内。
ふと見渡せば、どのスタッフさんも、目を輝かせながら楽しそうに働いている。
その姿に、不思議と涙が止まらなかった。
「私も、誰かの居場所になりたい」と思った
あのとき感じたのは、**“この人たちは、自分の場所で生きている”**ということ。
その輝きが、苦しかった私にはまぶしくて、でも希望でもあって。
「いつか、自分もこんな風に、コーヒーや空間を提供する側になりたい」
心から、そう思った瞬間でした。
それが、私のバリスタを目指す原点になった。
あの一杯は、人生の転機そのものでした。
コーヒーがくれたのは、味以上の“ぬくもり”
きっとその日飲んだコーヒーの味は、もうはっきり思い出せない。
でも、あのとき感じた空気や、灯りや、温度や、人のぬくもりは、
今でも私の中に、深く残っている。
だからこそ、私もまた、誰かの“忘れられない一杯”を届けたいと思いながら、
日々コーヒーと向き合っているのです。
☕️次回予告☕️
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