Cafe ginger⌘ginger|コーヒー編

私とコーヒーの、美味しい関係。

今日を始めるためのコーヒー|朝のカフェで出会った、小さな習慣


朝のカフェには、それぞれの「始まり」があった

昔、朝の時間帯のカフェで働いていたことがありました。

もともと私は朝が好きです。

まだ街が本格的に動き出す前の、少しだけ静かな空気。

その時間に淹れるコーヒーには、昼とも夜とも違う、まっすぐな香りがありました。
朝だけの澄んだ香りです。


朝の店には、いろいろな人が来ます。

出勤前に一杯だけ飲んでいく人。

待ち合わせまでの短い時間を過ごす人。

まだ少し眠そうな顔で、今日のエンジンをかけるようにコーヒーを選ぶ人。

その時間だけでも、たくさんの一期一会がありました。

静かな習慣を持つ、あるお客様

そんな朝の勤務の中で、印象に残っているお客様がいます。

毎朝ではないけれど、決まった流れの中でお店に立ち寄ってくださる方でした。

マグカップのドリップコーヒーを、朝の楽しみにしていると話してくださったことがあります。

最初はどこか緊張した雰囲気のある方でした。

でも、少しずつ会話を重ねるうちに、やわらかな笑顔を見せてくださるようになりました。

朝の勤務は忙しいことも多かったのですが、その方が来てくださる時間は、私にとっても小さな癒やしでした。

コーヒーは、今日を始めるためのスイッチ

当時の私は、うまくできないこともたくさんありました。

段取りが悪い日もあれば、気持ちばかりが先に走ってしまう日もありました。

それでも、ひとつだけ大事にしていたことがあります。

この方の、今日のスタートの一杯になりますように。

大げさかもしれないけれど、朝のコーヒーにはそういう役目がある気がしていました。

ただ喉を潤すための飲み物ではなく、気持ちを整えたり、呼吸を戻したり、これから始まる一日にそっと火を灯したりするもの。

朝のカフェで見ていたのは、コーヒーそのものというより、

一杯の向こうにある、それぞれの暮らしだったのかもしれません。

今も、朝の一杯に憧れる

今になって思うのです。

あの頃、私が素敵だなと感じていたのは、コーヒーの知識や飲み方だけではなく、自分の朝を大切にしている人の暮らし方だったのだと思います。

慌ただしい毎日の中でも、自分のためにコーヒーを淹れる。

ほんの数分でも、その時間をちゃんと味わう。

そんな習慣には、静かな強さがあります。

私も今、コーヒーを飲みながら文章を書くことがあります。

もしかしたらあの頃に憧れていたものを、少しずつ自分の暮らしの中に迎えにいっているのかもしれません。

朝のコーヒーは、人生を大きく変えるものではないでしょう。

でも、今日を始める気持ちを、ほんの少し整えてくれることはある。

そんな一杯があるだけで、人は少しやさしく一日を始められる気がしています。


慌ただしい朝ほど、自分のための一杯を。

コーヒーの香りと一緒に、今日の気持ちもそっと整えていけますように。




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